映画『新聞記者』は自分の期待を遙かに上回る良い映画であった。
社会派映画でありながら、下手なホラー映画より息苦しく恐ろしい不気味さを感じる映画
実際にあった加計学園問題や伊藤詩織さん準強姦事件が出てくるので、架空のストーリーが、まるで実際に起きているかのように錯覚しまう。
この手法はズルいとも言えるが、映画に命を吹き込むやり方と考えれば巧妙である。
そしてエンディングも絶妙。
明確な結末を見せずに、観客ひとりひとりに結末を考えさせる手法は、
「あなたはどう考えているのか?」
と問いかけているように思えた。
そしてラストシーンは、松坂桃李とシム・ウンギョンの表情をジックリと
楽しんでほしい。
二人とも、表情だけですべてを演じきっている。
セリフがなくても、あそこまで感情を表現できる、役者ふたりのラストシーンは必見の名場面。
しかし、桃李くんの演技は凄いなぁ!
孤狼の血で、ええ役者やなと思ったけど
新聞記者でダメを押したかも
若手俳優のなかでは最高の演技力を持つ実力派だと思う。
今後も彼が出演する映画は見続けよう
【原案】
望月衣塑子『新聞記者』(角川新書)
【監督】
藤井道人
【脚本】詩森ろば、高石明彦、藤井道人
【キャスト】
シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、郭智博、長田成哉、宮野陽名、高橋努、西田尚美、高橋和也、北村有起哉、田中哲司
特別出演 望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラー
【あらすじ】
東都新聞あてに、大学新設計画に関する極秘情報が、匿名FAXで送られてくる。
吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は、この極秘情報を送った人物を調査するように編集長から命じられる。
一方、外務省から、内調(内閣情報調査室)に出向していた杉原(松坂桃李)は、自身の仕事に疑問をもち始めていた。
外務省時代の尊敬する上司、神崎から「誠心誠意、国民に尽くす」という信念を教わった杉原。
しかし内調での任務は、現政権に不都合なニュースのコントロール
そして、報道メディアである吉岡エリカと、国家権力側である杉原は
ある事件をキッカケに、出逢い急接近していく。
*印象に残ったセリフ
「この国の民主主義は形だけでいいんだ」
今の日本を的確に表現しているセリフであった。
*「新聞記者」は、こんな人にオススメ
・最近の新聞やテレビの報道に、どこか違和感を感じているひと
・新聞記者など、報道関係の仕事に就きたいとおもっているひと
・国家権力に対して疑問・疑いをもっているひと
・松坂桃李ファン
*最後に
政治の話はNG!という人が多いように感じる日本。
そんな日本でポリティカルムービーは珍しいが、
この『新聞記者』は、最高の映画のひとつだと自信をもってオススメします。
できれば日本アカデミー賞にノミネートされて、多くの人に関心を持ってもらいたい骨太の映画である。
2019年アカデミー賞受賞の『新聞記者』は、以下の動画配信サービスで観られるよ!