多分この記事にたどりついたあなたは、
「日本酒を造る職人をテレビで観て、自分でもやってみたいと思った」
「何百年続く日本の伝統的な職人の世界に憧れを持っている」
という方がほとんどではないでしょうか?
日本酒を造りに興味があり杜氏(とうじ)になりたいけど、ぶっちゃけどんな仕事なの?
かなり独特な雰囲気があるけど、実際のところどうなの?
と、思っている若者がたくさんいることと思います。
日本酒造りの世界って、神々しく神聖な世界でカッコイイですよね!
これぞ、おとこの仕事って感じです。
インターネットで“酒造りの世界”などのキーワードでググってみると、タオルを頭に巻いた若者達のさわやかな笑顔が出てきます。
仕事の内容の方は、色々な担当があり繊細な作業が求められるのと同時に体力的にも厳しいという説明が出てきます。
確かにその通りです。
しかし本当にそれだけでしょうか?
はっきり言ってインターネットで収集できる情報は、全体的にソフトな表現であり、酒造り職人の世界の表部分だけの情報しか調べることが出来ません。
そしてググっても出てこない裏の部分は、かなりドロドロしておりブラックです。
というか、スーパーブラックです。
そんな、ネットで調べても出てこない、裏のドロドロした部分を包み隠さずお伝えしたいと思います。
そしてこの記事を書いた目的は、けっして酒造り職人を貶めることではなく、次のような方に向けて書いた物です。
・日本酒造りの世界に入りたいが、まわりに経験者がいない。仕事の内容は?職場の雰囲気は?
・日本酒が大好きなので日本酒造りに憧れる、自分にも出来るかな?
この記事は、酒造り職人の世界へ飛び込もうとしている方に向けて、経験者からのアドバイスです。
そして本記事を読むことにより次の効果が期待できます。
「凄く厳しい世界だ、でも飛び込んでみよう」
「絶対ムリーーーー、やっぱやめとこう」
「まず一度やってみてその上で決めよう」
特にネガティブな部分を事前に知ることにより、それなりの心構えが出来るのが大きなメリットになると思います。
デメリットとしては、途中から有料になります。
この記事は多くの方に読んで欲しいわけではありませんので、酒造り職人を目指す方以外は、購入しないでください。
それと固有名詞は一切出していませんので、どこの酒造会社かはわかりません。
また質問されても、答えられません。
さて、本題に入る前にまずは私の紹介から
酒造りをしたのは48才の時に、一造り(ひとつくりと読む。酒造りの世界で1シーズンの意味。 私の場合は10月末~4月中旬までの約5ヶ月間)
これまでの職種は、食品商社3年、イベント会社2年、情報通信業界25年、その後情報通信関連で独立するもうまくゆかず。
いったい自分が何をしたいのかがわからなくなっている時に、自分が一番ウマイと思っていた酒造会社が、蔵人(くらびと)を募集しているのを見つけてエントリーした。(酒造りに携わる職人を蔵人と呼ぶ。蔵人の雇用形態は、期間雇用と通年雇用があり今回の募集は期間雇用だった)
とりあえず一度経験してみた上で、本当に自分に適していると感じたら一生の仕事にしようという心構えで望んだ。
当時私は48才のおっさんでしたが、体力には相当自信があるし、体は丈夫だし、精神的にも強い方だと自負していました。
蔵人となった酒造会社は西日本の、とある地方にある小さな酒蔵
最新設備とはほど遠く、酒の作り方も古式である。というか、最新設備を備えられないので、狙ってその路線を進んだと教えてもらいました。
当然ながら、ド素人が約5ヶ月体験しただけであるので、技術的な事はわからないし、他の酒造会社とは違う部分もあるでしょう。
しかし大筋のところは共通するので、全体的なイメージは掴めると思います
さて、その酒造会社の酒の味ですが、めちゃめちゃ自分好みの味なんですね
初めて飲んだのは多分、7~8年ぐらい前かな?
ぶっ飛ぶくらい旨かった。
いままでたくさんの日本酒を飲んできたけど、ブッチギリの一等賞です。
というか自分にとってこれ以上の日本酒が想像出来ない、、、
そして客観的な評価は、と言うと
非常に個性的な味で、全国にマニアックなファンが付いている
また海外の超超超一流レストランへも納めている。
またメジャーな食の雑誌『dancyu』での日本酒特集の時には、小さくない扱いで名前が出ている。
さて、前置きが長くなりましたが、ようやく本編スタートします。
ド素人のオッサンが体験した、酒造りという厳しい職人の世界を紹介します。
酒造りの世界に飛び込もうとしている若者たち、心して読んでくださいね!
日本酒造りの世界をひと言で表現すると、
【前時代的で異様な世界であり、堅気の仕事ではない】
と言えます。
わかりやすく言うと、これ昭和初期の話?それとも江戸時代?
労働基準法とはかけ離れていてかなり変だよね
みたいな感じですw
そして上下関係は、体育会系?というよりも、ヤクザの世界のよう
どんな感じかというと、「オヤッサンが白を黒だといったら、黒なんだよ!」みたいな感じです。
今時の若者には理不尽に感じるだろうなぁw
職人の役職区分
杜氏(とうじ)・・・酒造りの最高責任者。蔵人を束ねる総責任者。杜氏が言うことは絶対であり、何事も杜氏を最優先させなければならない。
かといって恐ろしい人ではなく、包容力があり蔵人全員に大変気を使ってくれる。
人間性が非常に重要で人格的にも尊敬出来る人でないと、務まらないし蔵人がついていかない。
多くの人が、酒造りする人=杜氏と思っているが、それは間違い
頭(かしら)・・・杜氏の補佐役であり、杜氏以外の蔵人のまとめ役。
作業指示は頭がとる。ヤクザ世界でいうところの若頭と同じで、組長に次ぐナンバー2。実質の作業責任者
余談だが、初めに“かしら”という単語を聞いたとき、吹き出しそうになった。Vシネマの観すぎじゃねぇの?みたいなw
でその下に、大師、酛廻り、釜屋、道具回し、などあるがここでは省略
職人の1日
5:30時間前に会所場(かいしょば)に集合する
(会所場とは休憩したり、食事をするところの呼び名)
5:30蒸米(むしまい)の準備のあと蒸米及び櫂入れ(かいいれ)
7:00皆で揃って朝食 その後、当番が食器を洗う、あとトイレや洗面
7:30 準備のため作業場に向かう
8:00米の蒸し上がり
8:00蒸米の仕込みと洗い物
10:00休憩 ただし忙しい時は、なし
10:30上槽(じょうそう) 酒を絞る準備&上槽
12:00皆で揃って昼食&休憩 当番が食器を洗う
13:30出麹(でこうじ)や洗米(せんまい)
15:00休憩 ただし忙しい時は、なし
15:30甑(こしき)のセット、櫂入れ、洗い場の片付け
17:00皆で揃って夕食&晩酌 当番が食器を洗う
18:00テレビをみたり、順番に風呂
19:00以降 麹(こうじ)の切り返し、麹蓋の積み替え
上のスケジュール通りなら9時間労働、それと19:00以降に20分程、作業をする感じなんだけど、時には、それ以外の仕事があり1時間以上もかかった仕事もあった。
午前・午後、2度の休憩をどちらもとれることは稀で、どちらか1度か、どちらも「なし」の時が圧倒的に多かった。1日10時間以上は働いていたね
余談になるが、杜氏や頭はそれぞれ夜中にも作業をしていたので、2~3時間の睡眠→作業→睡眠→作業というサイクルであった。
実際どれくらいの睡眠を取っていたのかは正確に分からないが、杜氏と頭は酒造りの間ずっと寝不足だった。
さてここまでは通り一辺倒の事を書いてきましたが、ここからは生々しい裏話も交えながら、あなたの知りたい情報をお届けします。 -----この後は有料記事となります-----